はじめに
毎日使うトイレは家族全員が何度も利用する大切な空間です。いざリフォームとなると「どこをどう変えたらいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」「失敗しないためには何に気を付ければいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、トイレリフォームを成功させるために押さえておきたいポイントを分かりやすく解説しています。
この記事を読めば、便器やクロスの選び方、設備の工夫、費用相場、さらには失敗しやすい事例まで、トイレリフォームに必要な知識と考え方が分かるようになります。自分にぴったりの快適なトイレ空間を実現できるよう、ぜひ参考にしてください。
1)トイレリフォームで失敗しないポイント
1-1)リフォームする目的
1-2)どこをリフォームするのか
1-3)優先順位をはっきりさせよう
2)トイレリフォームで気を付けるポイント
2-1)人の動きを確認する
2-2)掃除のしやすさを重視する
2-3)節電・節水機能もチェック
3)便器の種類と選び方のポイント
3-1) 便器選びの基本ポイント
3-2) タンクありトイレとタンクレストイレの違い
3-3)お手入れがしやすい便器の特徴
4)クロスの種類と選び方のポイント
4-1)クロス選びのポイント
4-2)クロスの材質と特徴
4-3)色選びのポイント
5)トイレ設備のリフォームのポイント
5-1)手洗い器の設置場所とタイプ
5-2)収納スペースの工夫で使いやすく美しい空間に
5-3)照明とスイッチの配置にも気配りを
5-4)換気設備の見直し
5-5)細かな設備も使いやすさに影響
6)トイレリフォームの費用相場
6-1)便器本体+工事費用の相場
6-2)一般的なトイレリフォーム工事の相場
7)リフォーム業者を選ぶポイント
7-1)信頼できる業者を選ぶ
7-2)合い見積もりで相場を確認
7-3)話しやすい担当者
8)トイレの人気メーカーと製品の特長
8-1)TOTO
8-2)リクシル(LIXIL)
8-3)パナソニック
9)トイレリフォームの失敗事例
9-1)広さに合わない便器で窮屈
9-2)設備が多すぎて掃除が大変
9-3)実物を見ずに購入してしまった
10)まとめ
1)トイレリフォームで失敗しないポイント
トイレリフォームを始める前に次のポイントを整理しておくことが大切です。
- なぜリフォームをするのか
- どこをリフォームするのか
- 何を優先するのか
最初の段階でしっかりと考えておくことで、失敗しないリフォームにつながります。
1-1)リフォームする目的
リフォームを進めていくと目新しい製品やステキなデザインに心奪われてしまい、予算や当初の目的と大きく異なった方向へ進んでしまうことがあります。
まずはリフォームをする目的を明確にして、迷ったときに目的から外れないようにしましょう。
トイレをリフォームする理由は人それぞれですが、代表的なリフォームの例を参考にご自身のリフォーム目的を確認してください。
①老朽化や故障・破損が原因のリフォーム
便器や床、壁などが古くなり、故障や破損を機会にリフォームを検討した場合の例です。便座の故障や壁紙、床の破損などが発生している場合や、老朽化した設備が悪くなる前にメンテナンスする場合など、修繕や交換を目的としたリフォームになります。
➁グレードアップするリフォーム
老朽化や故障・破損によるメンテナンス時期にはまだ早い場合でも、おしゃれなトイレにしたい、最新の機能や使い勝手を向上させたい場合清潔感のある雰囲気にしたいなど、トイレを今よりグレードアップさせることを主な目的としたリフォームです。
③生活環境の変化にあわせるためのリフォーム
家族構成の変化や別の場所のリフォームによって間取りが変わる場合など、生活環境の変化に合わせてトイレのリフォームが必要になることがあります。例えば、介護が必要になったため手すりを付けたい場合や、住宅全体のリフォームに合わせてトイレの間取りも変えなければならない場合がこれに当たります。
1-2)どこをリフォームするのか
トイレリフォームとは必ずしも全部をリフォームするわけではありません。必要な個所を見極めることで無駄なく効果的なリフォームが行えます。
リフォーム箇所を理解していないと後から設備が足りなかったり、想定していない費用が発生することもあります。
トイレのリフォームで考えるのは大きく分けて次の3つです。
①便器
トイレのリフォームで最も基本的で主となるリフォームです。
故障などによる入れ替えにしても、同等レベルの機能性でよいのか、機能性を高めたいのかによって選ぶ基準は変わってきます。便器の種類や形状、機能(自動洗浄・温水洗浄など)によって使い心地が大きく変わります。
➁クロス
破れなどの破損や亀裂、日焼けや黒ずみ、カビの発生などが原因で壁紙だけを変えたい場合があります。住宅の材質にもよりますが、クロスは壁だけではなく天井や床も含めて考えます。特に床面は人が歩くことや汚れが落ちる可能性もあります。デザイン性だけでなく、防水性や掃除のしやすさも選ぶうえで大切なポイントになります。
③設備
トイレは便器とクロスは必ずありますが、その他の設備は各ご家庭によって異なります。手洗いカウンターや棚、照明などの設備を追加・変更することで、使い勝手や雰囲気を大きく改善できます。ただし、設備を増やすと掃除の手間が増えることもあるため、必要性をよく検討しましょう。
1-3)優先順位をはっきりさせよう
トイレのリフォームを成功させるには、「何を一番大切にしたいか」をはっきりさせておくことが大切です。すべてを理想通りにしようとすると予算オーバーになってしまいます。最初に優先順位を決めておきましょう。
①限られた予算、どこにお金をかける?
リフォームには予算の上限があります。まずはリフォームを検討するきっかけとなった目的を達成するために必要な予算を確保しましょう。例えば、トイレの設備を充実させたいのに便器に高額な予算を割いてしまっては目的が変わってしまいます。
➁使いやすさを重視する
2番目は使いやすさを優先することが大切です。
トイレは毎日使う場所です。掃除のしやすさや汚れにくさは毎日の負担に大きく影響します。座り心地や使い勝手の良し悪しは日々の積み重ねで苦になってくることもあります。
目的にあった予算を最優先に考えた次は、使いやすさを重視しましょう。
③デザインは目的と使いやすさのあと
目的にあった予算を確保して、機能性を考えた後にデザインを考えるのがポイントです。
デザインは視覚的に気持ちや体へも影響を与える大きな要素です。それと同時にもっとも魅力を感じやすいので、他のことより優先してしまいがちです。デザインを最優先して目的のずれや使い勝手の悪さで後悔しないようにしましょう。
2)トイレリフォームで気を付けるポイント
トイレのリフォームでは、「新しくなる=快適になる」と思われがちですが、実際には使いづらくなってしまうケースも少なくありません。ここでは、リフォームをする際に意識しておきたい大切なポイントを紹介します。
2-1)人の動きを確認する
トイレリフォームでは人の出入りや動作が自然に行えるかを確認することが大切です。
トイレは狭い空間だからこそ便器や設備の大きさ、配置などが悪いと使いやすさに大きく影響することがあります。たとえば便器のサイズが大きく、扉までの距離が近すぎると足元が窮屈に感じることがあります。リモコンの位置や操作性も重要で、誰でも直感的に使える配置が理想です。
高齢の方や小さなお子さまがいる家庭では、立ち座りのしやすさや安全性の配慮も大切です。手すりの設置や床材の滑りにくさなどで快適性も変わってきます。
2-2)掃除のしやすさを重視する
毎日使う場所だからこそ、掃除のしやすさはとても大切です。便器のふち裏や便座のすき間、手の届きにくいすき間などに汚れがたまりやすいため、お手入れがしやすい設計の便器を選ぶのがポイントです。
最近では「ふちなし形状」や「便座が簡単に持ち上がるタイプ」「抗菌加工された素材」など、お掃除がしやすい工夫がされた製品が多く出ています。床や壁材も、「汚れに強くさっと拭ける素材」を選ぶと日々のお手入れが楽になります。
2-3)節電・節水機能もチェック
最新のトイレには、節水・節電機能が充実しています。従来型と比べて、少ない水でしっかり流せる便器や自動で便座を温めたり脱臭したりする省エネ設計の機種もあります。
初期費用はやや高くなっても長期的に見れば水道代や電気代の節約になり、結果的にお得になることもあります。これから何年も使っていく場所だからこそランニングコストに目を向けて選びましょう。
3)便器の種類と選び方のポイント
トイレリフォームの中でも、最も重要な部分のひとつが「便器の選び方」です。毎日使うものだからこそ、使いやすさ・掃除のしやすさ・見た目・機能性など、こだわりたいポイントはたくさんあります。ここでは、便器選びで押さえておきたい基本と、それぞれの特徴を分かりやすく紹介します。
3-1) 便器選びの基本ポイント
便器を選ぶ際にまず考えたいのは、「誰が使うか」と「どんな機能が必要か」です。高齢者や子どもが使う場合は安全性や操作のしやすさ、共働き家庭ではお掃除の手間を減らす機能など、家族構成やライフスタイルによって求められる性能は変わります。
次に設置できるスペースも確認しておきましょう。トイレの広さに対して便器が大きすぎると圧迫感が出てしまいます。ショールームなどで実際にサイズ感や座り心地を確認しておくと失敗を防げます。
3-2) タンクありトイレとタンクレストイレの違い
最近主流の便器には大きく分けて「タンクあり」と「タンクレスタイプ」の2種類があります。タンクレスタイプの方が最新型で人気がありますが、デメリットもあります。それぞれの特徴について確認しておきましょう。
①タンクありトイレ
昔から一般的に使われてきたタイプで、水を貯めるタンクが便器の背面についています。手洗いがタンク上に付いているモデルも多く、本体費用や設置コストが比較的抑えられるのがメリットです。
➁タンクレストイレ
水道直結型のためタンクがなく、トイレ空間をすっきりと広く見せられます。特にトイレが狭い場合におすすめです。ただし、別に手洗い場を設置する必要があり、ウォシュレット一体型のため故障時に便座だけの交換ができないといったデメリットもあります。
③タンクレストイレの選び方
タンクレストイレはタンクが無い分トイレを広く使えるように感じますが、手洗い場を新たに設ける必要がある場合はタンクありよりも費用と場所が必要になってきます。見た目も良く掃除もしやすいタンクレスですが、生活動線をよく考えて使い勝手を確認することが失敗しないポイントです。
3-3) お手入れがしやすい便器の特徴
便器の形状や構造によって、お掃除の手間は大きく変わります。こうした機能は初期費用を少し上げることになりますが、日々の掃除が楽になることを考えれば、十分に価値があります。
掃除のしやすさを重視するなら、以下のような仕様に注目しましょう。
①ふちなし形状
便器のふち裏に段差がなく、汚れがたまりにくく、拭き取りが簡単です。
➁リフトアップ機能付き便座
便座部分が浮き上がる構造で、便器と便座のすき間まで掃除ができます。
③床に接しないデザイン
壁付け型の便器や一部浮いている便座は、床掃除が楽になります。
④強力な洗浄水流
少ない水でもしっかりと汚れを落とす水流設計なら、汚れが残りにくくなります。
4)クロスの種類と選び方のポイント
トイレの雰囲気を左右する大きな要素が「クロス(壁紙)」です。毎日使う場所だからこそ、清潔感があり、落ち着ける空間にしたいものです。また、クロスは見た目だけでなく、掃除やお手入れのしやすさにも関わってきます。
ここでは、クロス選びの基本や材質ごとの特徴、色の与える印象などをわかりやすく解説します。
4-1)クロス選びのポイント
クロスを選ぶときに大切なのは、「機能性」と「デザイン性」のバランスです。
トイレは比較的狭い空間なので、壁紙の色や柄が空間の印象を大きく変えます。
①クロスの機能性
- 防水性
- 防汚性
- 消臭効果
- 抗菌効果
トイレは水や汚れがつきやすい場所なので表面にコーティングが施されたものを選ぶと掃除の手間を減らすことができます。気になるニオイを抑えたり、菌の繁殖を防ぐ機能があるクロスもあります。こうした機能性があるクロスを選ぶことで掃除の負担を減らし、清潔さを保ちやすくなります。
➁クロスのデザイン性
- 視覚的効果
- 心理的効果
- 物理的効果
壁紙の色によって開放的に感じたり圧迫感がでてしまったりすることがあります。質感や色味によって晴れやかな気分や落ち着いた雰囲気にする効果もあります。
また、色によって汚れの目立ち方や劣化の速度にも違いなど、物理的な効果にも違いがあります。
4-2)クロスの材質と特徴
トイレでよく使われるクロスの材質には、以下のような種類があります。
①ビニールクロス
最も一般的なタイプで、価格も手ごろ。防水性・防汚性に優れ、掃除もしやすいため、トイレには特におすすめ。デザインの種類も豊富です。
➁クッションフロア(床材)
クロスとは別ですが、床に使用される素材として定番です。クッション性があり滑りにくく多少の衝撃を吸収してくれます。水に強く、汚れてもさっと拭けます。木目調やタイル調などバリエーションも豊富です。
③タイル
壁の一部に使うことで、高級感や清潔感が出せます。耐久性に優れていますが、施工費用が高めで冷たい印象になることもあるため、部分使いがおすすめです。
4-3)色選びのポイント
壁紙の色によってトイレ全体の雰囲気は大きく変わります。色選びは好みだけでなく、機能性も意識すると満足度が高まります。
①明るい色(白・ベージュ・パステル系など)
清潔感があり、空間を広く見せる効果があります。爽やかで軽やかな印象を与えるため、狭いトイレには特におすすめ。ただし、汚れが目立ちやすいので掃除の頻度を意識する必要があります。
➁暗い色(ネイビー・グレー・ブラウン系など)
落ち着きや高級感を演出できます。汚れが目立ちにくい点も魅力。ただし、圧迫感が出やすいので、広めのトイレか壁の一部だけに取り入れるのが効果的です。
5)トイレ設備のリフォームのポイント
トイレリフォームで見落とされがちなのが、「便器以外の設備」の重要性です。便器や壁紙だけを交換しても、手洗い器や照明、収納などが古いままでは見た目にも使い勝手にも統一感がなく後悔の原因になりやすい部分です。
この章ではトイレ空間全体の快適性と機能性を高めるために、設備面で気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
5-1)手洗い器の設置場所とタイプ
トイレ内に手洗い器を設置する場合、スペースや使い勝手に合わせた選択が求められます。手洗い器は大きく分けて2種類です。
①タンク一体型(タンクの上に手洗いが付いているタイプ)
古くからあるスタイルで、タンクの上に蛇口と小さな洗面部分がついています。省スペースでコストも安く、配管の変更も最小限に抑えられるため、手軽に導入できます。
高さが合わず子どもや高齢者には使いにくいこともあります。
➁独立型(別体の手洗いカウンターやボウル)
見た目のスマートさや使いやすさを重視するなら「独立型」がおすすめです。デザイン性や使い勝手に優れたタイプです。洗面ボウル、カウンター、収納キャビネットがセットになったものもあり、インテリア性も抜群。水はね防止の設計や、掃除のしやすさも考慮されています。
独立型はタンクレストイレを採用した場合に必要になることも多く、導入時には給排水工事が必要になりますが、その分、利便性や清潔感は向上します。
5-2)収納スペースの工夫で使いやすく美しい空間に
トイレは小さな空間ながら、意外と収納しておきたいものが多い場所です。予備のトイレットペーパー、生理用品、掃除道具、芳香剤、サニタリーボックスなど、置くものをきちんと収納できる工夫が重要です。
①壁面収納(吊り戸棚)
ドア上や便器の背面の壁など、デッドスペースになりやすい場所に収納棚を設置することで空間を有効活用できます。目線より高い位置に設置することで、視界を遮らず、スッキリした印象に。脚立などを使わずに取り出せるよう、位置や奥行きの確認も大切です。
➁カウンター収納・床置きキャビネット
便器横や手洗い器の下などに設置することですぐに取り出したいアイテムをしまっておける便利な収納です。デザインと統一感を持たせれば、見た目もスマートになります。物を「隠す収納」と「見せる収納」を使い分けることで、雑然とした印象を避けましょう。
③ニッチ収納(壁のくぼみ)
壁を少しへこませて収納棚にする「ニッチ収納」も人気です。奥行きは浅いですが、芳香剤や小物などを置くのにぴったり。おしゃれな空間演出にもなります。
5-3)照明とスイッチの配置にも気配りを
トイレの照明は、明るすぎても落ち着かず、暗すぎると不便。適度な明るさと色味が重要です。
①色味は電球色が主流
白く明るすぎる照明は清潔感はありますが、落ち着かない印象を与えることもあります。最近では温かみのある「電球色」の照明が人気です。落ち着きと高級感を演出できます。
➁人感センサー付き照明の導入
自動で点灯・消灯する人感センサー付きの照明は、手を使わずに操作でき、電気の消し忘れも防げます。特に夜中の使用時や小さなお子様、高齢者にとっても便利です。
③スイッチの配置にも配慮を
トイレに入ってすぐ手が届く場所に配置されていないと不便です。また、室外にあるスイッチの場合、いたずらや誤操作で困ることもあるため、設置場所には注意が必要です。
5-4)換気設備の見直し
トイレのニオイや湿気を解消するには、換気扇が欠かせません。古い住宅では換気性能が弱いタイプや、音が大きいタイプもあります。
①静音・省エネタイプを選ぶ
近年の換気扇は、静音性に優れ、省エネ性能も高くなっています。特に密閉性の高い住宅では、空気の循環が不十分になることも多いため、性能の良い換気扇は必須アイテムです。
➁自動タイマー付きで消し忘れ防止
人感センサーや一定時間で自動停止するタイマー付きの換気扇もおすすめです。常に換気しておきたい場合は24時間換気対応のものを選ぶと良いでしょう。
5-5)細かな設備も使いやすさに影響
ほかにも、以下のような設備もトイレ空間の快適性を左右します。細かな設備に関しても動線を考え、使い勝手を確認しましょう。
①ペーパーホルダー
手の届きやすさやロールの回転、交換しいやすさなどを確認しましょう。最近ではスマホを置ける棚付きタイプも人気です。
➁タオル掛け
最近では感染症予防の観点からペーパーを使用するご家庭も増えています。タオル掛けの必要性の有無も検討し、ペーパーホルダーなども候補に挙げて考えてみましょう。
③コンセントの位置
トイレで使用する電気製品も増えているので、コンセントの位置や数についてもよく検討しましょう。ウォシュレットや照明、電気製の芳香機器など、トイレで使用する電気製品を想定したコンセントを検討しましょう。
6)トイレリフォームの費用相場
トイレリフォームを考えるとき、多くの人が最初に気になるのが「一体いくらかかるのか」という費用のことではないでしょうか。実際、リフォーム内容や選ぶ製品によって費用は大きく変わります。
この章では、便器本体の価格相場と、一般的なトイレリフォーム全体にかかる費用の相場について解説します。
6-1)便器本体+工事費用の相場
便器そのものの価格は機能やメーカーによって大きく異なります。大きく分けて「組み合わせ便器」「一体型トイレ」「タンクレストイレ」の3種類があり、それぞれの価格帯には次のような特徴があります。
※工事費は含まず本体の価格相場です。また価格帯は変動しますのであくまで参考程度としてください。
便器本体+設置工事費用
①組み合わせ便器+温水洗浄機能
※工事費込み
相場:20万円前後
もっともスタンダードなタイプです。価格は抑えめで、パーツごとに交換できるのがメリットです。シンプルでコスト重視の方におすすめです。
②一体型トイレ
※工事費込み
相場:25万円前後
タンクと便器が一体化しているタイプです。タンクと便器の接合部がシンプルでスタイリッシュな見た目と掃除などの手入れがしやすい形状になっています。
③タンクレストイレ
※工事費込み
相場:35万円以上
貯水せずに流せるためタンクがありません。スタイリッシュな見た目と、手洗い器を別に設けられる点が魅力的です。設置には水圧や電源の条件を確認する必要があります。
④便座(ウォシュレット付き)
※工事費込み
相場:2万円〜10万円以上
便座には「温水洗浄機能(ウォシュレット)」が付いているタイプとそうでないものがあり、これも価格に大きく影響します。高機能モデルになると、自動開閉・自動洗浄・脱臭・温風乾燥などが搭載され、便座単体で10万円以上する製品もあります。
6-2)一般的なトイレリフォーム工事の相場
トイレリフォームは、「便器を交換するだけ」なのか、「内装もまるごとリニューアルする」のかによって、費用が大きく異なります。以下はよくある工事内容別の費用相場です。
※工事費のみの価格相場です。また価格帯は変動しますのであくまで参考程度としてください。
便器本体+設置工事費用
①便器のみの交換
※工事費込み
相場:5万〜20万円程度
既存の便器を撤去し、新しい便器を設置します。工事は1日で完了することが多いです。
➁便器+内装のリフォーム(床・壁紙の張替えなど)
相場:10万〜40万円程度
便器の交換に加えて、床(クッションフロアやフロアタイル)や壁紙(クロス)を一新します。クロスや床材の材質、トイレ内外の構造による作業への影響などによって変動します。
③タンクレストイレの設置
相場:3万〜10万円以上
大きな工事が必要なく便器だけの交換であれば安く済みますが、配管や設置場所の問題を解決する場合はそれに応じて費用が発生します。
④レイアウト変更・拡張・移設工事
相場:50万〜100万円以上
トイレの場所を移動したり、空間を広げたりするリフォームを行う場合は大がかりな工事になるため、費用は高額になります。住宅の状態や構造によっても費用は変わってきます。
7)リフォーム業者を選ぶポイント
トイレリフォームを成功させるためには、「どの業者に依頼するか」がとても大切です。設備やデザインが理想的でも、施工が雑だったり、アフターフォローがなかったりすると満足のいく結果にならないこともあります。
この章では、失敗しない業者選びのポイントを3つに分けて解説します。焦らず、信頼できるパートナーを見つけることが、快適なトイレ空間づくりの第一歩です。
7-1)信頼できる業者を選ぶ
トイレリフォームを依頼するなら、「信頼できる地域の業者」を選ぶことが基本です。訪問営業でやってくるリフォーム会社には注意が必要です。
「今すぐ決めれば安くなります」と急かされたり、「この地域で工事中なので一緒にどうですか」といった言い回しには要注意です。こうした業者の中には、工事後にトラブルが起きても連絡が取れなかったり、必要のない高額な工事をすすめてきたりするケースもあります。
地元に根付いた業者は評判や口コミが地域で広がるため、いい加減な対応をすることが少なく責任感を持って施工してくれる傾向があります。また、何かトラブルがあった際にもすぐに駆けつけてもらえる安心感があります。
特に以下の点を確認すると良いでしょう。
- 会社や店舗の所在地がはっきりしている
- 実績があり、施工事例を見せてもらえる
- 保証内容が明記されている
7-2)合い見積もりで相場を確認
リフォームは、同じ工事内容でも業者によって見積もりに差が出ることがよくあります。だからこそ、「合い見積もり」はとても大切です。
合い見積もりとは、複数の業者から見積もりを取り、比較すること。価格の比較だけでなく、工事内容の違いや説明の丁寧さ、対応の誠実さなども見えてきます。
例えば、ある業者では「床の張り替え費用込み」と書かれていても、別の業者では「オプション費用扱い」で別料金になるケースもあります。そうした違いに気づけるのも、複数の見積もりを比較するメリットです。
合い見積もりは2〜3社程度を目安にすると比較しやすくなります。多すぎても比較するポイントが分からなくなるので注意しましょう。
「価格が極端に安い業者」はその内容や理由に疑問を持つようにしましょう。安さの裏には、工事内容の簡略化やアフター対応の不十分さが隠れている可能性もあります。
7-3)話しやすい担当者
担当者が話を聞いてくれる人かどうか、意見交換しやすいかどうかということを確認するのも大切です。見積もりや打ち合わせの段階で聞きたいことを聞けなかったり、こちらの意図が伝わりにくい場合は思ったようなリフォーム結果が得られないかもしれません。
「この人になら安心して任せられる」と感じられるかどうかも大事な判断材料です。
応対のポイント
- 専門用語を使わず、わかりやすく説明してくれるか
- 不明点や不安を聞き入れ、親身に対応してくれるか
- 約束の時間を守る、対応が早いといった基本的なマナーがあるか
ただし、悪質な業者は話しやすさや人受けの良さを強調してくる場合が多いので、話しやすさだけで決めるのはやめましょう。必ず信頼性を確認してください。
施工後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためには、担当者との信頼関係が欠かせません。営業トークに流されず、自分の希望をきちんと聞き入れてくれる相手を選びましょう。
8)トイレの人気メーカーと製品の特長
トイレリフォームを考えるうえで、どのメーカーの製品を選ぶかは非常に重要です。性能・デザイン・価格帯・お掃除のしやすさなど、それぞれに特色があり、ご家庭のニーズに合った選び方が求められます。
ここでは、国内で高い人気と信頼を誇る3つの主要メーカー ― TOTO・リクシル・パナソニック ― の製品の特長と価格帯についてご紹介します。
8-1)TOTO
①価格帯の目安
- スタンダードモデル:約10万円前後
- 高機能モデル:約25〜40万円程度(ウォシュレット一体型・自動洗浄など含む)
- ハイエンドモデル:50万円以上(ネオレストシリーズなど)
➁特長
- 陶器加工の技術力が高く、衛生陶器の品質に定評がある
- 衛生・清潔に関する独自技術が豊富
- 国内シェアが高く、施工ノウハウや対応力も豊富
TOTOは創業以来、便器や洗面器などの「陶器」製品を主軸としており、耐久性・清掃性・美しさに優れた陶器製トイレの品質は業界トップクラスです。便器表面を汚れにくくする「セフィオンテクト」など、衛生性を重視した開発力に強みがあります。
多くの工務店・リフォーム業者がTOTO製品の扱いに慣れており、信頼性の高いメーカーとして人気があります。
8-2)リクシル(LIXIL)
①価格帯の目安
- スタンダードモデル:約8〜15万円
- 中〜上位モデル:約20〜30万円
- フラッグシップモデル:約35万円〜50万円前後(サティスシリーズ)
➁特長
- 住宅設備機器を幅広く手がける総合メーカー
- 機能と価格のバランスが良く、選択肢が豊富
- 収納や手洗い器との一体型など、空間効率に優れた製品が多い
キッチン・お風呂・サッシ・玄関ドアなども手がけるLIXILは、住まい全体の空間提案が得意で、トイレ空間もトータルコーディネートしやすいのが魅力です。
高価格帯からリーズナブルなモデルまで幅広く展開しており、予算や使用目的に応じた最適な商品を見つけやすい特徴があります。
狭いトイレ空間でも有効に活用できる工夫が多く、住宅事情に合わせた柔軟な設計を得意としたメーカーです。
8-3)パナソニック
①価格帯の目安
- エントリーモデル:約10〜15万円
- 中位モデル:約20〜30万円
- 高機能モデル:約35万円〜50万円(アラウーノシリーズ)
➁特長
- 電気制御やセンサー技術に優れた電機メーカーならではの製品展開
- タンクレストイレの先駆者としてデザイン性が高い
- 本体の自動洗浄機能や泡洗浄など、掃除の手間を減らす設計が豊富
洗浄・乾燥・節電などの動作制御が得意で、トイレの電動機能を重視する家庭に適しています。陶器ではなく有機ガラス系素材を使用するなど、他社と一線を画す先進的なデザインと清掃性が特徴的です。
日々のメンテナンス性を重視した機能設計が魅力で、共働き家庭など手間を省きたい方に選ばれています。
9)トイレリフォームの失敗事例
トイレリフォームは日々の快適さに直結する工事ですが、「やってみたら後悔した」という声も少なくありません。どんなにお金をかけても使いづらくなってしまっては意味がありません。
ここでは、実際に多い失敗例とその原因、そして未然に防ぐためのポイントをご紹介します。事前に知っておくだけで、大きな後悔を避けることができます。
9-1)広さに合わない便器で窮屈
①失敗例
「最新モデルのタンクレストイレを導入したけど、思っていたよりもサイズが大きくて、足元が狭くなってしまった…」
「ドアを開けると便器にぶつかるようになった」
など、トイレの寸法を十分に確認しないまま選んでしまったケースです。
➁原因
- 実際のトイレ空間とのサイズ感を想像しきれなかった
- 設置スペースの測定が甘く奥行きやドアの開閉範囲まで考慮しなかった
③対策
- 設置予定のトイレスペースの幅・奥行き・天井高を正確に測る
- 便器本体の寸法だけでなく、体を動かすスペースまで考慮して選ぶ
- 不安があればリフォーム業者に設置後のシミュレーションを相談する
9-2)設備が多すぎて掃除が大変
①失敗例
「手洗いカウンターを付けたら掃除する場所が増えて面倒…」
「収納棚を設置したけど、結局ほこりが溜まって汚くなってしまった」
など、“便利にしたつもり”が、逆に手間やストレスになるパターンです。
➁原因
- 便利そうだからと、使いこなせるかを考えずに機能を盛り込んでしまった
- 設置後のメンテナンス性を考えなかった
- 水回りに収納を増やしたことで、湿気やカビの原因にもなりやすい
③対策
- トイレは「毎日掃除する場所」と割り切って、清掃性を第一に考える
- 設備を増やすなら、メンテナンスのしやすさも確認する
- 収納は必要最小限にし、置く物も定期的に見直す
9-3)実物を見ずに購入してしまった
①失敗例
「カタログで見て素敵だったからネットで購入したけど、届いてみたら色味が違った」「座ってみたら思ったより硬くて冷たい」など、実物を確認しないまま決定してしまった場合の典型的な後悔です。
➁原因
- カタログ写真やWEBの画像で判断してしまった
- 機能だけを見て選び、「使用感」や「見た目のバランス」を考慮しなかった
- 便座の高さや形が体格に合わなかった
③対策
- ショールームで実物を体感してから決める
- 見た目だけでなく、質感・肌触り・座り心地もチェック
- 「家族全員が毎日使う」ことを意識し、使いやすさを優先する
10)まとめ
トイレは、家族全員が毎日使う大切な空間です。だからこそ、リフォームにはしっかりとした準備と知識が必要です。
この記事では、便器の選び方や快適さを左右するポイント、費用の目安、信頼できる業者の選び方、人気メーカーの特徴、そして実際によくある失敗例までを詳しくご紹介しました。
特に大切なのは次の3つです。
- 何を優先するかを明確にすること
- 実際の使用感や生活動線を考えること
- 信頼できる業者にしっかり相談すること
焦らず、自分たちにとって本当に必要なものを見極めながら、納得のいくリフォームを進めていきましょう。